関係人口に違和感を持っている人へ

2019 2/01
関係人口に違和感を持っている人へ

地域おこし協力隊をしていると切っても切れない言葉が「関係人口」
最近になって本やニュースなど色々な方面からその言葉を聞くようになった。

概要を知った瞬間は納得するものの少し考えてみるとなんか違和感が生まれる言葉。
正直私も最初は否定的でした。
でも噛み砕いて考えていくと今では特に違和感は無くなってる。
モヤモヤしている人も結構おると思うので、ここでそのモヤモヤが小さくなると嬉しいです。

目次

関係人口とは

これを読んでる人はだいたいわかってると思いますが、
総務省の特設サイトでは

「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々のことを指します。

『関係人口ポータルサイト』より引用

(特設サイトあるんや。)
電通のような広告代理店やソトコトなどの雑誌で特集が組まれるくらい流行ってる言葉の一つ。

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素直に「関係人口」を捉えてみる

移住するにはハードルが高いけど観光以上の交流をしたいって人は前から多くいた。そういった人たちが増えることによって衰退していく地域の手助けが出来たり将来的に移住や定住する人が増える。
関係人口というカテゴリを作ってあげる事により自分の立ち位置が明確になり段階を踏みやすくなる。

関係人口に対する否定的な意見

やっぱり物事には表と裏があってどんな事にも否定や批判は付いてくる。
関係人口という言葉も例外では無いし、地域おこし協力隊として活動していると意外と否定的な意見をよく耳にする。
否定的な意見の多くは、「真剣に移住者や定住者を増やそうとしている人に失礼」という趣旨のものが多い。
「真剣な交際」を求めている人からすれば、「出会いは多い方が良い」という意見は受け入れがたい。
私も違和感を感じていた大きな理由がこれ。
無理やりカテゴライズしたら移住する気なくなるやん!!
名前つけてメディアが流行り作ってるだけやろ!!
と内心思ってた。
ただ地域が都会の人たちから興味を持ってもらわないといけないのも事実で完全な否定は出来やんなーと思ってた。
だから冷静になって関係人口について考えてみた。

関係人口という言葉を誰が作ったのか

色々調べてみたけど明確に「誰」ってのは出てこやんかった。
(追記 : どうやらソトコト編集長の指出さんらしい。やっぱり編集能力のある人が作ったんやなー)
概念的には昔からあるものでそれを最近誰かがデザインした。
個人的に大きく目にするキッカケになったのはソトコトなんかなーと思ってる。

基本的な「地域おこし」のやり方は、地域に昔からある素材を使ってデザインし直して発信していく事なので、関係人口という言葉も同じように昔からある概念をわかりやすくデザインしたものなんだと思う。

何のために関係人口がデザインされたのか

じゃあ何のためにデザインし直されたのか。
情報が溢れてる時代は「溢れてるものを整理する」事でお金になる。
まとめ記事やtwitterなんかもそれが一つの価値とされてる。
だからボヤッとした概念をデザインし直して関係人口という言葉を作るとお金になって、それはやっぱり広告代理店やメディアなど概念をまとめた人が一番利益を得てるんやと思う。

まとめたらなんでお金になるのかというと、それは皆にとって使いやすかったり都合が良かったりするから。
移住までは考えれていない人も自分はこの地域の関係人口なんだと認識する事よって地域のためになっていると感じられるようになるし、自治体も移住や定住に繋がらなくても関係人口を増やしていると言えるようになる。

関係人口という言葉が生まれるとどうなるのか

こうして関係人口という言葉が生まれる事によって、その言葉を「都合よく使える」ようになる。
だからこそ否定的な意見が出るような事も起こる。

でも地方自治体の目線で考えると良い面が多いんじゃないかなと思う。
地域おこし協力隊として活動している方ならなんとなく役所の動き方はわかると思うんですが、やっぱり何をするにしても「予算」なんですよね。
んで今まで移住・定住を希望する人にしかアプローチできなかったものが、関係人口という大きな概念を入れる事によって、かなり初期の段階の人たちにも直接関われる(予算が出せる)ようになったんじゃないかと。
個人的は思うんです。

今までリーチ出来てなかった層にまで届くようになるのはどの自治体にも嬉しい事で、自治体目線で考えたらやっぱり関係人口という言葉を流行らせた方がいいんやろなーと今は思ってる。

でも関係人口を目的にしてはいけない

言葉が生まれて皆が動きやすくなったけど、地方自治体が関係人口づくりを目的にしてはいけない。
都会に住む人の「流行り」になってしまう事を忘れたらあかん。

あくまで関係人口は移住・定住の手段で、地域の自治体は移住者・定住者を増やすことが目的にして頑張らなあかんと私は思う。
最終的な判断は地域と交流を持つ側にあるので強制するものではないし、強制したところで人は来てくれない。
でも他の地域と切磋琢磨しないと魅力は埋もれてしまうし廃れてしまう。
だから地方自治体が関係人口づくりを目的にしてはいけない。

関係人口という言葉に違和感を持っている人の多くは多分「地方自治体が関係人口づくりを目的にしてる」ことなんだと思う。
ただ手段としてはある程度必要な言葉だと思うので、言葉自体を否定するのはあんまり良くないのかなと。
その言葉を使ってどう動いてるかで判断しないといけないです。

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