着付けは気付け

2018 5/20
着付けは気付け

ちょっと前に奈良の今井町でイベントがありました。
今井町というのは昔「大和の金は今井に七分」といわれるほど繁栄した町です。
今も町の大半の町家が大切に保存されていて、時代劇や映画の世界に入ったような江戸時代の姿が残っています。
その日は歴史ある場所で「花嫁道中」を再現するというイベントでした。

着物を着付けてから神社まで町を歩くという流れだったので、最初に着付け師さんによる着付けが行われました。

花嫁に白無垢を着付けるにあたり、着付け師さんはまず「気付きの場」になれば嬉しいと仰ってから着付けに入られました。
その時はあまり理解できていませんでしたが着付けを見ていくうちに「着付けの精神性」を感じ、これこそ自分が意識することだなーと思いました。

着付けは単純に綺麗に着物を着せるものというくらいの認識しかなかったのですが、着物ができた最初は「着方」なんてなかったと思うんです。
それをどこかのおっちゃんが丁寧に着せてくれるから皆がおっちゃんに頼むようになって、それが商売になり資格にまで昇華されたんじゃないかと。
ならそのおっちゃんはどうして着せ方が上手かったのか。
多分「むちゃくちゃ几帳面やった」と思う。
几帳面というのは、色々なことに気付ける人だと思います。

じゅばんや帯は羽織や色打ち掛けで見えなくなるにも関わらず、少しも違和感を残さない。
それは見える見えないとかではなく、そういった手間をかけることに意味があるんだと思います。
おっちゃんは自分の中で納得のいくように着付けていた。それが周りにも共感を呼ぶようになっていった。
私はそういう精神性を今井町のイベントで気付けました。

この考え方はデザインや生き方にも通ずる考え方で、これからの時代に必要な精神性と思います。
色々なことに気付くこと。気付いたことに納得した答えを出せること。
今まで思っていたモヤモヤが一つ消え、着付け師に憧れた日になりました。

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